職場でのパワーハラスメント(以下パワハラ)は、個人の尊厳を傷つける重大な問題です。
被害者が我慢を続けていると、解決するどころかエスカレートすることもあるため、速やかに対処することが必要です。
しかし、いざ自分や身近な人がパワハラに直面してしまったら、誰に、どうやって相談すれば良いのでしょうか。
この記事では、パワハラへの対処法を解説していきます。
パワハラの定義について知りたい方はこちらの記事もあわせてご覧ください。
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参考これってパワハラ?パワーハラスメントの定義
働いていると「これってパワハラじゃないの?」と思うことがあります。社会人として、純粋な教育や指導と、パワハラの違いを知っておくことは大切です。この記事では、パワハラの定義や種類、具体例について詳しく解説します。
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こんな方におすすめ
- パワハラの対処法が知りたい方
- パワハラは誰に、どうやって相談すれば良いのか知りたい方
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執筆者
やっさん
- 人事・労務歴14年
- 一部上場企業やベンチャー企業など4社で勤務
- 採用面接や給与計算、社会保険手続きなどを担当
- FP2級、ビジネスキャリア検定(人事)3級
パワハラ防止は企業の義務
2022年4月1日から「労働施策総合推進法」という法律が改正され、パワハラの防止策をとることは企業の義務になりました。
企業が取るべき措置を簡単にまとめると「企業は普段からパワハラに関する教育をし、あらかじめ相談窓口を作っておき、何かあったら迅速に適切に対応しなければならない」という内容になっています。
【参考】厚生労働大臣の指針
職場におけるパワーハラスメントを防止するために講ずべき措置
- 事業主の方針等の明確化および周知・啓発
- 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- 職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応
- 併せて講ずべき措置
パワハラの定義について知りたい方はこちらの記事もあわせてご覧ください。
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参考これってパワハラ?パワーハラスメントの定義
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パワハラの対処法
もしあなたがパワハラにあってしまったら、まずは自分の身を守ることを最優先に考えましょう。
我慢を続けていても自然に解決することはめったにありませんので、現実的な対処法は次の2つになります。
逃げる
企業の相談窓口として複数のパワハラ問題に関わった経験と、私自身がパワハラにあった経験を踏まえて言えることは、「逃げるが勝ち!」ということです。
パワハラは間違った行為ですが、残念なことに加害者にパワハラをやめさせるのは非常に難しいのが現状です。
パワハラ行為をできる時点で普通の感覚ではありませんから、多少の注意や処罰を受けたぐらいで、根本的に良い人になることはまずありません。
みなさんも「あの人はこの何年間で何人辞めさせた」などと噂される人に出会ったことはありませんか。
パワハラ問題の特徴として、加害者はパワハラを繰り返すというものもあります。
したがって、あなたが「何としてもこの職場に残りたい」という強い意志がない場合には、部署の異動願を出したり転職したりすることが、最も早い解決方法になります。
闘う
どうしても相手に非を認めさせたい、自分はこの職場に残りたい、改善して仲間のことも守りたい、という強い意志がある場合には、覚悟をもって闘いましょう。
ただし、相手は職場で一定の地位にいる人物ですから、あなたが感情的に怒りをぶつけたり、一人で戦ったりすると状況が悪化する恐れもあります。
冷静に作戦を考え、味方を作ってから臨むことが鉄則です。
パワハラと闘う方法・注意点
ここからは、パワハラと闘うと決めた場合、誰に相談すれば良いのか、何に注意すれば良いのかを解説します。
誰に相談するのか
世の中にはさまざまなパワハラの相談窓口がありますが、まずは自分に近いところで相談し、それでも解決しない場合に上の組織に相談する、とステップアップするのが原則です。
具体的な相談の順序は次の通りです。
- 職場の上司 ※パワハラをしている人より上の立場の人
- 職場の人事部やハラスメント相談窓口
- 労働基準監督署やNPO法人
- 裁判所(刑事裁判・民事裁判)
「社内に相談窓口があるはずです。そこには相談しましたか?言ってみて解決できなかったら、会社の対応も含めてもう一度相談に来てください」
と言われていました。
相談する際の注意点
パワハラを相談するときには、次のことに注意しましょう。
時と場所を選ぶ
信頼できる相談相手に「大事な話があるので、場所を変えて時間をとっていただけませんか」と伝えましょう。
あなたが相談していることが何らかの形で加害者に伝わった場合、仕返しを受けてしまう恐れがあるためです。
また、あらたまった形で相談することで、相談相手に対しても「単なる愚痴や世間話ではなく、深刻な問題である」と伝える効果もあります。
事実を整理して伝える
パワハラの被害について、事実を客観的に記録してまとめましょう。
5W1H(いつ、だれが、どこで、何を、なぜ、どのように)で簡潔にまとめます。
パワハラの現場に同僚などが居合わせた場合は、事実確認の際に証言してもらえる可能性もあるため、その場に居た人物も報告しましょう。
また、会話の録音、届いたメール、診断書など証拠となるものがあれば「コピー」を提出します(原本は自分の手元に残しておきましょう)。
感情的にならない
パワハラは、ときに心身を病んでしまうほどの行為であり、思い出すのもつらいものです。
しかし相談のときはなるべく感情的にならず、冷静に話しましょう。
感情的になって「私はこんなに悲しい」「私はかわいそう」という点ばかり強調してしまうと、相談を受けた側は「被害者が打たれ弱いのではないか」「被害妄想もあるのではないか」という印象を持ちかねません。
パワハラ問題にしっかり介入してもらうためにも、あなたは冷静に、客観的な態度を保つよう心がけましょう。
まとめ
パワハラ問題は、いまや当事者だけの問題ではなく、企業の問題と位置づけられています。
一人で抱え込まずに、しかるべきところに相談して協力を得ながら解決しましょう。
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