いま、正社員として働いている人の中には「給料は安いのに責任ばかり重くてやってられない」「割り切って派遣で働きたい」と考えている人もいると思います。
一方で、派遣社員になると雇用が不安定なことや、もう正社員には戻れないかもしれないということが心配です。
この記事では、派遣で働くメリット・デメリットや、決断するときのポイント、おすすめの派遣会社を解説します。
こんな方におすすめ
- 正社員を辞めて派遣社員になりたいと考えている方
- 派遣社員のメリット・デメリットを知りたい方
- 良い派遣会社を知りたい方
派遣のお仕事なら…
執筆者
やっさん
- 人事・労務歴14年
- 一部上場企業やベンチャー企業など4社で勤務
- 採用面接や給与計算、社会保険手続きなどを担当
- FP2級、ビジネスキャリア検定(人事)3級
結論:正社員がつらい人は、派遣社員を選ぶのもアリ!
結論から言うと、正社員がつらい人は派遣社員になるのもアリです。
一般的に正社員の仕事は責任が重く、20代など若手のうちは給料もそれほど高くありません。
職場では、正社員よりも派遣社員の給料の方が高いということもよくあります。
もしもいま、正社員として体力的・精神的に限界を感じているのなら、自分の健康を最優先に考えましょう。
実はこの記事を書いている私も、20代半ばで3年ほど派遣社員をした経験があります。
当時は正社員から派遣社員になることへの不安もありました。
しかし、結果的にまた正社員に戻れましたし(しかも上場企業でした!)、あのときに派遣社員になることを決断して良かったと思っています。
派遣社員で働くメリット
派遣社員として働くことには、次のようなメリットがあります。
以下で、それぞれについて詳しく見てみましょう。
- 時給が高い
- 責任が軽い
- 仕事を見つけやすい
時給が高い
派遣社員の仕事は、時給が高い傾向にあります。
本来の派遣社員は「企業のピンチを救うため、短期的に助けに来る専門スキルを持った人」という立場でした。
例えば海外との商談の通訳や、システムを構築するエンジニアなどです。
今では特別なスキルを必要としない派遣の仕事も多いですが、必要な期間だけ企業のピンチを助けるという点は変わりません。
したがって、時給は直接雇用よりも高くなる傾向にあります。
責任が小さい
派遣社員の仕事は、正社員に比べて責任が小さくなります。
基本的に何かを企画・立案することは無く、指示された業務を確実にこなすことがミッションです。
また、派遣社員には必ず現場で指示を出す社員(指揮命令者)を置くことが法律で決められています。
そのため、困ったことがあれば相談できますし、派遣社員が最終的な責任者になることもありません。
仕事を見つけやすい
派遣の仕事は派遣会社で紹介してもらうため、自分に合った仕事が見つかりやすいです。
これは意外に知られていないことですが、派遣社員を受け入れる企業は、派遣社員を選考(面接)することは禁止されています。
そのため、「顔合わせ」や「職場見学」と呼ばれる、最低限の条件確認のみで就業が決定することが多いです。(一部では、顔合わせすら必要ない場合もあります。)
書類選考や一次面接、二次面接など厳しい選考がある正社員に比べて、仕事は決まりやすくなります。
派遣社員で働くデメリット
ここからは、気になるデメリットについて解説します。
派遣社員の道を検討しているのであれば、きちんとリスクも把握しておきましょう。
- 雇用契約や収入が不安定
- 賞与がない
- 重要な仕事は任せてもらえない
- 組織の中で浮くことがある
雇用や収入が不安定
派遣社員は、3ヶ月~半年など一定の期間を定めて契約する働き方です。
そのため、景気や業績が悪化して人を減らす場合には、派遣社員が真っ先に候補になります。
私はこれまでに2つの人材会社で「派遣する側」としても働いたことがありますが、実際に契約が終了してしまうケースはありました。
どれほど本人が現場で活躍していても、企業が事業の縮小や人員削減を決めてしまうと、契約終了になるのです。
また、収入面でも時給制のため、年末年始や大型連休などで休日が多くなると、その分手取りは減ってしまいます。
賞与がない
派遣社員には、ほとんどの場合賞与(ボーナス)がありません。
そのため、月給で見れば正社員より少し高くても、年収にすると正社員より低くなることが多いです。
正社員なら、賞与で大きな買い物をしたり旅行をしたりするという楽しみがあります。
しかし、派遣社員の場合はそれが難しいので、毎月の給与から計画的に貯めることが必要です。
重要な仕事は任せてもらえない
派遣社員は責任が小さいのがメリットですが、裏を返せば重要な仕事は任せてもらえないということにもなります。
何かの企画・立案などは正社員の仕事となるため、派遣社員は言われた通りの仕事をきっちりこなすという立場になりがちです。
組織内での出世という概念もないため、人によっては物足りなさを感じることがあります。
組織の中で浮くことがある
働く企業によっては、職場で自分だけが派遣社員として浮いてしまうことがあります。
例えば、社内行事や飲み会に誘われない、名前ではなく「派遣さん」と呼ばれる、などはよくあることです。
私自身が派遣社員のときに経験したのは、「派遣社員には名刺を持たせない」という区別でした。
確かに、厳密に言うと私はこの企業の人間ではないので、「〇〇会社の△△です」と名乗れないのは、仕方がないことかもしれません。
それでも、取引先との商談などで名刺を出せないのは恥ずかしかったですし、疎外感を感じたのを覚えています。
派遣社員の道を選ぶときのポイント
派遣社員の道を選ぶ場合は、次の点に注意しましょう。
- 目的を明確にして、それに合った仕事を選ぶ
- ずるずると続けない
- 良い派遣会社を見極める
目的を明確にして、それに合った仕事を選ぶ
派遣社員として働く場合は目的を明確にして、それに合った仕事を選ぶことが大切です。
例えば「プライベートを充実させたい」と思って正社員を辞めたのに、派遣でも残業や休日出勤が多い生活になってしまったのでは意味がありません。
自分が派遣社員になる目的は「しっかり休むため」なのか「経験を積むため」なのかなど、よく考えておきましょう。
また、仕事を探していると「高時給」や「家から近い」など魅力的な案件がたくさん出てくるかもしれませんが、その仕事が目的に合っているかどうかをブレずに見極めることも大切です。
ずるずると続けない
派遣社員の仕事は、ずるずると続けないようにしましょう。
20代~30代前半ぐらいまでは正社員・派遣社員とも求人は豊富にありますが、30代後半ごろからは求人の質が変わってきます。
具体的には、「〇〇経験が5年以上の人」「管理職経験がある人」などが条件になってくるのです。
そのため、キャリアプランを考えずに何となく派遣社員を5年・10年と続けていると、30代後半あたりからは仕事が見つかりにくくなってきます。
仕事が見つからなくて安い給料で妥協したり、辞められずに我慢し続けたりするのは、避けたいところです。
派遣社員として働くのなら「何年後にどうする」という終わり方も計画を立てておきましょう。
良い派遣会社を見極める
派遣社員になる場合は、登録する派遣会社の選び方も重要です。
私自身も長く人材業界にいましたが、環境の悪い職場を平気で紹介してきたり、きちんと就業フォローをしてくれなかったりする派遣会社の話はたくさん聞きました。
反対に、良い派遣会社で親身なコーディネーターに当たり、人生が好転したという話もあります。
派遣社員として安心して働くためには、良い派遣会社を見極めましょう。
おすすめの派遣会社3選
派遣会社選びに迷う人のために、おすすめの派遣会社をご紹介します。
登録したら必ずそこで働かなければいけない、というわけではありません。
まずはカウンセリングを受けて、どんな仕事があるのか、信頼できる会社なのかを見てみるのもおすすめです。
テンプスタッフ
テンプスタッフは、業界最大級の求人数を誇る派遣会社です。
特に事務系の仕事が豊富で、未経験から大手有名企業などで働けるチャンスがあります。
派遣の仕事だけでなく、紹介予定派遣(正社員を前提とした派遣)や正社員の仕事も紹介してもらえるため、長期的にサポートしてもらえるのがメリットです。
パソコンスキルや英会話など、スキルアップ支援も充実しているので、ぜひチェックしてみてください。
マイナビスタッフ
マイナビスタッフは、求人サイトで有名なマイナビが運営する派遣会社です。
事務系の仕事に加え、Webデザイナーなどクリエイティブ系の仕事も豊富に揃っています。
また、「未経験可能」や「週4日以内OK」などの希望条件にも対応してもらえるので、自分に合った働き方が可能です。
もちろん、社会保険や有給休暇、福利厚生などもしっかり対応しているので、安心して働けます。
ランスタッド
ランスタッドは世界最大級の総合人材サービス企業です。
軽作業や製造の仕事が豊富で、自分のペースで黙々と働きたい人に向いています。
全国の求人のうち70%が未経験OKの仕事なので、初めてでも安心です。
また、登録後のやりとりは、電話やメールではなくLINEでできるのも嬉しい点です。
いまの仕事で接客業や、職場の人間関係に疲れてしまったという人は、ぜひチェックしてみてください。
まとめ:派遣社員になるなら、リスクも把握したうえで期間を決めて働こう
派遣社員は、正社員で働くことに疲れてしまった人や、未経験の仕事にチャレンジしたい人におすすめの働き方です。
ただし、収入が不安定で、重要な仕事は任されにくいというデメリットもあります。
派遣社員の道を選ぶ場合は、デメリットも把握したうえで、自分の中で期間を決めて働くようにしましょう。
きちんと長期的な計画を立てておけば、派遣社員は高い時給で稼ぎながらプライベートも確保できる魅力的な働き方です。
派遣のお仕事なら…